2016年12月28日水曜日

まこぶさ食堂2016年の5大ニュース

2016年もいよいよカウントダウン、私の印象に残る5つの出来事を、描いてみました。


年が押し迫ると、やってみたくなるものです。

本当は、振り返る余裕もなく、あれも、これもしなきゃで、気がついたら新年。

クリスマス、大晦日、お正月は、子どもの頃のエベントだったのかしら?

なあんてひねくれたらイケマセンネ。

ここはサクっと、思い起こすこと。



『温泉の本物は効く』

長いこと、どこへ行ってもカラスの行水を続けてきました。

正直に、シャワーでいいかな、熱い湯船はイヤ、カラダを洗うためだけの入浴。

ところが著名な温泉地の、地元の方や関係者が毎日入っている共同浴場。

いわゆる温泉地の銭湯ですね。ここに浸かったが100年目でした。

抜群の湯あたり、疲れとれる、気持ちいい、リーズナブル。

温泉地の開湯の原点、なぜ拓かれて、愛されたかを知った思い。




『骨が折れると音がするという真実』

ヒツジこと、釣りの世話(ほか運転など)をする釣り執事。

部屋のなかでヨロめいて体制を保とうとしたところパキっと音がした。

折れてました、ばっちり、レントゲン写真に白い海峡が出現。

現在、骨折する状況は室内が8割を占めるそうですが、だから音がよく聴こえたのかな?

とにかく、お気の毒なヒツジは半年間ほど動きが遅く、とくに釣り場で難儀してました。



『熱帯の観賞魚は釣れる』

美しく、得体の知れない魚ミノカサゴ。

長いヒレの先はすべて毒針であり触れたらエライことに。

そのエライことの魚を釣ったのが得体の知れない男、部ちょーなのでした!

投げ釣りでミノカサゴは釣れるものなのですね。

防波堤に打ち上げられた美術品を鑑賞いたしましたです。




『金属製優勝カップで飲む赤ワインの味』

黒ヒツジ(釣り執事・ブラックスタイル)が、船からのカワハギ釣り大会で優勝。

で、いただいた優勝カップになみなみと注いだ赤ワインを私に献上してくれました。

いやあホント、こんなコトして大丈夫かいな。

とかためらい、、、は一瞬にして霧散して、気分はミサ中の神父さま?

うまし! これぞ、勝利の美酒というものでしょうか。私の優勝カップでないけど。



『シュノーケルは要注意』

私は、フツーには泳げます。足のたたない処でも。

シュノーケルという機器はシンプルかつ大変便利で、筒さえ水上に出ていれば、、、。

だったのですが、入ってきた水をうまく吐き出せなかった、2日続けて。

高知県の仁淀川と柏島の、淡水、海水を飲んで、パニックになりました、2日続けて。

「ヤバイかも」

今年を表すコトバになりました。

2017年を楽しむために、キモに命じるコトバといたします。

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2016年12月17日土曜日

外ケ浜町・浜乃食堂DNA店に参上

お世話になっている津軽半島の浜乃食堂。その息子さん開店ということで見参、でした!


先行したヒツジ(釣り執事)に大きく遅れて飛び乗ったはやぶさ号。

八戸駅でほとんどのお客さんが降りてしまい、新青森駅では私ひとり。ここはひと唸り。

♪大宮からのはやぶさを降りた時から新青森は雪のなか〜〜〜〜〜♪

♪北へ向かう緑の電車赤いテールは地吹雪のなか消えていく〜〜〜〜♪

↑以上、津軽海峡冬景色の旋律にて歌ってしまう。


なんとか、遅いお着きでたどりつく。

青森市本町1丁目、お店は市内繁華街にある蓮華寺というお寺の門前。

屋号は『くつろぎ処 匠や』

まだオープンして1ヶ月ぐらい。

この開店のお祝いが、津軽行きの第一目的だったわけですが、、、、、、。


陸奥湾でさっきまで生きていたヒラメ。

身と縁側に切り分けられて、キモが添えられている。

とか伝聞、検分してるヒマもなく、私は遅れてやってきたのだ。

駆けつけ三杯、詫びの三杯、急いで三杯、遅れを取り戻そうと三杯。

いきなり、津軽じょんがらが聴こえてきそうなハイピッチモードへ突入。

はやぶさ号も、この速度には、かなうまい。


鱈の白子の天ぷら。

熱いです、私、猫舌で、はひはひはひ、とかは、まだ記憶ありました当然。

熱い、うまい、うまし! はひはひ。

いやあ、旨いなあ。


津軽半島の西浜側で盛期に入ったと伺ったハタハタ。

♪秋田名物八森ハタハタ、男鹿で男鹿ブリコ♪

津軽のブリコも、ぶりっぶり!

このあたりも、絶好調、うまし! いやあ、まいった。


昆布で絞めた身のヒラメ、ホッキ貝刺身、まだよく憶えております。うまし!

↑ヒラメの表裏の皮のカラ揚げ。矢継ぎ早に登場してくる青森県の旨いもの攻撃。

ここは青森ですが、盛岡のワンコそば状態といいますか、マシンガンに討たれている。

青森銘酒『田酒』を、大きなコップについでいただき、このあたりから、私は、、、?


知り合えて、すでに4年が経ちました。

津軽半島の外ケ浜町で『浜乃食堂』を営むマスターとママ。

子どもさんが、この度、他店での修行のうえ、独立。

いつも厨房で忙しいママも、穏やかな表情に見えます。

うれしいですよね、独り立ち、ああ、私のムスコたち、独立はいつ頃?

なあんて考えるから、ブリブリ酔ってしまうのか私。


めでたく開店となった、まこと店主とひろみさん。

ご兄妹なのですね。つまり、あにいもうとのお店。

浜乃食堂のDNAを受け継ぐか、くつろぎ処 匠や。

強豪ひしめく青森市内の繁華街でがんばるのです。


大間のマグロ、陸奥湾のほたて、うに、など。

青森、津軽のいいとこが握り鮨で出てまいりまして。

うまし! うまし! うまし!


ということで、宴たけなわ、となりまして。

マスター&ママとHUG、HUG、HUG。

駆けつけ三杯、では済まぬ、何杯いっぱい、鳴り響く北国のファンファーレ。

ただ申し訳ないのは、この時にはすでに記憶おぼろげ、どうなったのか?

皆さま、およびヒツジの力を借りて、投宿先に搬送。

青森の夜は、そうそうに気絶の途となりました。


コケコッコーーーーーーーーーッ!!!

しばらく今どこなのか解らなかったのですが、正気を取りもどす。

ここは青森市だった。そうか、では行きますか。防寒の上下に着替える。

向かった先は市内を流れる駒込川(堤川)の河口。

トラベルバッグに、パックロッドと道具をしのばせていたのでした。


ククン、クンクン。

すこし糸を緩め気味にして待っていますと。

クククン。おおっ。巻く。

これは、ヌマガレイではないですか。

日本ではいまや希少種、生息環境が厳しくなる一方の汽水域の魚類。

釣ってしまったぁ、と、うれしさと同時の懸念のようなものが。

でも、生き残っていたことに、感慨深げなヒツジ。


こちらは裏側。

両側のヒレには黒い斑があり、魚体にザラつきがあります。

全体的に菱形に見えることも特徴なのだとか。

沼や川に暮らすので、ヌマガレイ、カワガレイ。不思議なカレイです。

ヒラメと同じ、左目だし。


同行のヒツジが堤川で釣りをしたのは、1979年の春とのこと。

転勤族の姉夫婦を頼ってやってきた青森で、竿を投げたらいろいろなカレイが釣れた。

まだ公園のような整備はなく、殺風景な河岸、護岸だったそうですが、

いまは青森市民の、もっとも身近かな釣り場のようです。

マスターから後日伺ったところによると、スズキの大型も遡上するようです。


ちょっぴり郊外を走ろうと、陸奥湾に突き出た夏泊半島へ向かう。

上空を飛ぶ雲がねずみ色に変わると、雪が舞い散ってくる。

寒波襲来で、道端の温度計はマイナス2度。

青森ではほんの序の口でしょうから、クルマの往来も頻繁。


コンビニの店頭で並べられていたウォッシャー液のドデカボトル。

雪の降り始めは、とにかくよく使います。

「あ、今年もこの季節がやってきたんだなあ」とヒツジがぽつり。

ヒツジは水を含んだ重い雪質の北陸出身なので、ウンザリした表情が印象的でした。


夏泊半島の東側の付け根付近。

ハクチョウの飛来地に寄ってみました。

人恋しげに、近寄ってくるハクチョウ、ウミネコ、カモ、カモメ。

なにかあげるものなかったかなあ? あっ。

昨夜マスターとママからいただいたリンゴを1つ取り出しました。

齧っては投げ、齧っては投げ、齧っては投げて。

発見、ハクチョウはトロい。おっとりしてます。横取りされる。食べ負ける。

強いのは、カモメ、ウミネコ。

カモは反応がいまいち。やはり穀物系が好きか?

「ねえさん、折角シベリアから飛んで来たんだから、もっと頼むぜ!」

どの鳥もみんなそんな表情でした。すまん、気が効かなくて。


夏泊半島は、読んで字のごとく青森市民の夏の海の遊び場のようです。

岩場と砂浜、松の木立。これらにいま雪が被っていますが、それさえ美しい。

風光明媚な海岸線がありました。


東滝という漁港で竿を出してみる。

クルマが堤防のぎりぎりまで入れるので、吹雪いてきたら逃げ込める。

「今年もこういう季節がやってきたんだなあ」とヒツジ。

そうか、そういう季節か、北の国では、それを早く知る。

とか思いながらパックロッドを握りしめておりますと。


ゴゴン、グングングン。

慌てて、巻くと、ゴグン、ゴグン、ゴグン。

パックロッドなので、かなり抵抗感がありました。

アイナメでした。30センチぐらいあります。

シーンと静まりかえっている漁港なので、反応がより鮮烈。


ビビビビビっとアタリ。

そのままツツツゥーーっと巻いてきたらこの子。

頭の大きなシマシマ。ヒツジが言うには、ギスカジカ仲間ではないかとのこと。

北の国の、全身タイガース! なのでした。

しかし、このあとカワハギは来ませんでした。


魚のアタリは、他にもありましたが、釣れたのは2尾だけ。

次第に北西風にのって粉雪が吹いてきます。

堤防に置かれた三角ブロックを背中に居ましたが、耐えられなくなってきた。

ひとり、あとから、釣り人が来られて、その方は岩手ナンバー。

励まされたようで粘ってみましたが、足と手の指先が厳しくなってくる。

もう、そろそろ、いいかな。




青森市内への帰り、寄ってみたのが、浅虫温泉の元湯・総湯。

すっかりクセになってしまっている源泉かけ流しの公衆浴場であります。入浴料350円。

ギンギンに熱い、噛み付かれたように強烈、そして快適。

「これぐらい熱くないと、うちのお客さんたちは嫌がりますもんね」と女将さん。

外は零下、なっとく、かじかんだ指先はもどり、身体はずっとポカポカでした。


すっかり鋭気が回復。

昨夜マスターとママからいただいた、おみやげを雪に置いて撮ってみる。

林檎、柿、洋菓子風に仕上げられた干し柿。

津軽の土、水、そして人。ありがとうございます。

後ろ髪引かれる想いで、ふたたびはやぶさ号に乗ったのでした。

津軽の釣りと漁港ロマン『浜乃食堂』ブログはこちら↓

http://hamanoshokudou.blog.fc2.com

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2016年12月11日日曜日

12月は富士山を背中に釣る。

今年も師走突入。ああ、1年が早い。定休日は東名を西に走って、沼津、富士の海岸線へ。


足柄山を越えて富士山が右手に見えると、ああ、沼津だなという気持ち。

市街地を抜けて、この広大な砂浜といいますか、石浜といいますか。

ああ、やっぱり沼津だ、静岡に来たなという想いがします。

太陽の光は燦々、連日、赤城おろしの関東平野とは別の国に来たようです。

去年はなぜか来なかった。なぜだ? いい季節になぜ来なかったのか?

今年も初めての沼津。なぜだ? いい季節になぜ来なかった?と復唱。


誰もいない浜辺で考えていると、ああ、そういうことかと。

川や海で泳ぐクセがついてしまった。

つまりは、この沼津に来るのは、ソウダガツオの季節なのですね。

ベストシーズンを、川泳ぎ、海泳ぎで終えてしまった。

回遊魚の終わった季節に、誰もいない海で釣りをしている。

でもまだ未練がましい同行のヒツジにつきあって仕掛けを引きづる。

私にも、実はまだ未練がましいお相手への目論見があるわけですが。


あらっ。

しまった。アタリは明確だったのですが、なんかヘン。

なんかヘンな理由はこういう状態だったわけで、ごめんと言って海へ戻す。


こちらもアタリはとれた。

ちょっと気持ちが上向きになる。

やった! 愛すべきシマシマ、全身タイガースが登場。

ということは、予告? 居るのか? 予告? 確定?

居て! 確定でしょ? 居るはず、水温はまだまだ温かい。

確定でしょ? 全身タイガース様!!!


確定!

予告ホームランでした。

大本命様です。

やっぱり狙って掛かると、うれしい。居ました!

まだ、居てくださった。


ときどき、グーンと重くなると、この方。

こちらも随分いるみたいで、よく乗っかってくれるのですが、

サイズが小さい。外して逃がします。


おおっ。

明確なアタリとキューンと引けば大本命様。

海岸の底には、大小の石があるようで、うまくサイドに落ちるといいアタリ。

さすが沼津だなあと、感激、納得。


賑やかなアタリを楽しめて、師走の慌ただしさを忘れてしまうひととき。

伊豆半島の山々を眺めながら、やはり沼津には1年に1回は来たいなとしみじみ思う。

同行のヒツジは、まったくの見当外れ、的外れ、季節外れ、時代遅れ?

以前、12月3日にソウダガツオを釣ったことがあり、それが忘れられない。

あちこち歩き回って、弓ヅノ、ジグを真剣に投げてました。誰も居ない海で。

ポツリとひとこと。

「ソウダ様は、和歌山や高知にお帰りになったのかなあ?」

それはもしかしたら、アタってるかもしれません。また来年のお楽しみということで。


渚での釣りは納得。

まだ私は行ったことがない田子の浦港へ移動。

高度成長期の頃は、悪評も高かった港湾だったそうですが、いま水はキレイに見えます。

冠雪した富士山を眺めながらの釣り。

かかっている雪雲は冷たそうですが、海沿いは暖かい。

このコントラストがいいのかなあとしみじみ。


ブルっときたぁ。

このブルっというのもたまらない瞬間です。

水温が温かいので、まだまだこの方は元気なようです。

顔を見れて、よかった。


驚いたのが、この方。

ソウダ様を諦めて、やや不貞腐れていたヒツジのエギにいきなりヒット。

結構大きなコウイカでした。

最近ヒツジはイカをやらなくなったので、これも久しぶりに姿を見ました。

水を吐いて怒っている(苦しんでいる?)ようなので、エギを外して放流。

墨をぷっと出して、底へ消えていきました。


師走の陽は傾くのが早い。

道具を片付けて、富士川の河口を歩いてみました。

水は透き通っていて、ここなら泳げそう?

でもそれは、夏に見にこないと駄目ですね。これも来年のお楽しみ?


東名を速攻帰宅して、カワハギ1尾だけを調理(残りは冷凍で格納)

小さな土鍋でカワハギご飯を炊いてみました。

お米1.5合、昆布白だし60CC、水270CC。

さくっと行ってみました。


身をほぐして青ネギを散らして。

うまし! 

くだけて炊かれたキモがキモではないかと。

ただひとつ、カワハギはもう1尾入れてもよかったかなと。

これもまた次回のお楽しみということで、大本命様、掛かってくれたおのおの方。

ありがとうございます!

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2016年11月27日日曜日

運に恵まれた雲仙

先週23日の祝日を絡めて2日間、長崎県島原半島まで行ってきました。変わらぬ超速旅。


到着は午前4時過ぎ。

南島原市の道の駅。

折しも季節風が吹き下ろし、翌日の東京は雪の予報とか。

びゅうびゅう唸る声を聞きながら、揺らされる車内で夜明けを待つ仮眠。


明けて、姿を現した雲仙普賢岳。

頂上付近は雲がかかってますが、草木ひとつない山容に圧倒されるばかり。

あの噴火から20余年、当時のニュース映像を思い出したり。

溶岩ドーム、火砕流、土石流という言葉が一般的に知れ渡りました。


振り返ると、傾斜の向こうに広がる有明海。

後ろから押されるようなおろし風ですが、日の光がさしてきました。


海辺は、引き潮の時間帯でした。

露出している河口の干潟が、浅い海、砂泥の海、有明の情緒をかきたてます。


運よく、水深を稼ぐための堤防を発見。

さっそく朝のひと振りといきました。

車内でちぢこまっていた身体を伸ばすのだ。

対岸の山のシルエットは、熊本県側。


ブルっときたぁーーーっ。

いいサイズです、朝陽が映えて美しい。美しかよ。キレイか。

はて、有明のキスは初めてではなかろうか。

さらに2尾が加わり、幸先よし。


島原半島を一周する国道をゆっくり南下。

雲仙の山々が角度によっていろんな姿に変わります。

ちなみに、雲仙とは、三峰五岳を総称する名称とか。

半島の中心に鎮座する、東西南北、大きな山体なのですね。


原城跡を巡る。

島原の乱で、蜂起した浪人、農民たちが籠城した高館の跡。

幕府の鎮圧軍によって、最後は、女、子ども容赦なく、約37000人が玉砕。

現在も、発掘などの調査が続けられているそうです。

駐車場には、全国各地からの来訪者が、クルマのナンバーから読み取れました。

見下ろす海は、風裏とあって、穏やか。


半島の南端付近、口之津の港へ来ました。

前を通り過ぎるのは、天草・鬼池港へ向かうフエリー。

鬼池という文字から、さだまさしさんも歌った「島原の子守唄」を思い浮かべました。

口之津港は、かつての「からゆきさん」たちを海外へ運び出した港としても有名。

厳しい歴史のある土地柄だと偲びつつ、釣りには興じている私。ああ。


モソっときて重い。

あまり引かない。重いだけ。これが水面にきたら、大きなキスに見えるところがミソ。

それは、カマスも同じ。もうひとつカマスと同じなのは、顔が怖いこと。

口をいーーーっと引いて、怖い、歯もこわい、エソ殿。


エソ、グーフの連続に、うーむとなっていたところ。

同行のヒツジが左隣りの先客氏より、情報を仕入れる。

港湾の反対側の護岸や堤防も、有望らしいと。

さらに港の中は止めておいたほうがいいとのこと。

ウミケムシが入れ喰い、、、、やりません、絶対に。

空腹になっていたこともあり、移動。


フェリー波止場にうまいものあり。

ヒツジがピンときたというので、口之津港の待合所の対面の食堂へ。


ビンゴ。

長崎県民にとって、これがマズいと店は継続できんとよ、とヒツジ。

私は、皿うどんか、野菜炒めか、迷いましたが、野菜炒め。

どちらも、うまか、おいしか、いやあ、旨いなあ。

フェリー乗り場とは、地場と、物流のターミナルステーション。

ここで店を張るばってん、旨いに決まっとろう(長崎に来ると長崎弁になるヒツジ)

東京における、立ち食いそばみたいなものですかね。


お腹もふくれて、移動した護岸より再開。

こちらは、口之津港の船道に近く、グンと水深もある。

横から季節風が吹き込むのはご愛嬌。

太陽燦々なので、気合い入れんばね。


あっ、マズイ。

いきなり、この子が、、、アタリは鮮烈だったのですが。

するっと戻せました。ヨカッタ。

水深があるので、この子はいますね。

さきほどのお隣りさんは、この子のオトナ版を狙っていたのかな?


モソっ、あらら。

エソが多いのは、イカダや釣り堀の副産物。

と、ヒツジは言います。

イカダからエサを入れる、したに小魚が集まる、それを狙ってエソが寄る。

人為的な食物連鎖が生まれるからとのこと。

少々、入れ喰いの様相に。ケムシでないから、ま、いいか。


投げる方向をいろいろ変えてみたところ。

ブルっときました。よかった。美しか。

気持ちいきいき、全国一律の、この顔と姿に、こころ弾むのです。

雲仙からの豊富な伏流水が、島原半島のキスゴを育てているとヒツジは言います。


クワッと引き込まれたあと、ビビビビビビビビビビビっと振動。

重い、ビビビビ、重い、ビビビビ。巻いてる最中もビビビビビビ。

おおっ、久方ぶりに拝見したニベの姿。

グググググゥーっとグチっています。

糸を通じてビビビビっと伝わったのは、この振動?


以上、釣り上げた魚たちは、この後にもご一緒したファミリー。

島原市からのご家族に快く貰っていただきました。

ちなみに、アジが回ってきて、ちびっ子たちは大忙し。

そのなかで、小6の少年が投げ釣りに興味を示してくれたのが印象的でした。

天ビンと仕掛けを結んであげたヒツジが、エサをつけて、

こっちだあっちだと指南していました。

私らが先に辞したあと、キスゴが釣れてくれてればいいのですが。

雲仙の山々に見守られて。


小腹が減ったので(また)、スーパーで、押し寿しを購入。

卵、デンブ、アオノリが載った鮮やかな寿し。

島原半島といえば、ソーメンが全国的に有名です。つまり麦の食文化。

そのなかで、米というのは、祭りの寿し、ハレの食事ではなかったかと思うのです。

これは、高知県のお寿しにも共通する、彩り豊かな押し寿しの存在性。

とても甘い酢のシャリをつまみながら、先ほどの子どもたちを思いだしたりして。


釣り疲れたところで(走り疲れて?食べ疲れて?)湯浴みへ突入。

半島西浦、橘湾に湧く小浜温泉(おばまおんせん)の共同浴場へ。

ちなみに、今回知ったことなのですが、雲仙とは「温泉」からの変換だったとか。

温泉の中国語読み、ウェンシエンを、国立公園に制定する時に、雲と仙に書き改めた。

日本史の、日の本らしい、九州ならではの古代命名に驚くばかり。



で、小浜温泉共同浴場は、通称おたっしゃん湯。

入浴料150円で堪能できた熱い潮の湯でした。

快適、疲れ、とれる、疲れ、とれる。

ヒツジは長崎市内の高校時代から、たびたび小浜温泉を訪れていたそう。

「いやあ、やはり元湯総湯はサイコーたいね!」

これが、雲仙「海の湯」と呼ばれるところ。


いきおい、今度は山の中へ分け入り、険しい傾斜を上っていく。

近ごろ、すっかり元湯や総湯にこだわってます。

雲仙温泉の街中にある共同浴場・湯の里へ。入浴料200円でした。

こちらは一転、硫黄や鉄分の溶けた白濁の湯。

玄関まわりは新しくなったそうですが、浴場内は昔の普請のまま。

ちなみに、雲仙「山の湯」と呼ばれるそう。

いやあ、これまたサイコー。疲れがとれ過ぎて、ふやけてしまいそう。ふぬけや。

ふぬけになったところでふと我に還ると、帰りの時間が心配になってきました。

急いで山を降りて、島原市の港へ急ぐ。



恒例、汽車があれば、ヒツジは撮ります。

島原鉄道。通称しまてつ。

ヒツジが長崎の高校生の時には、長崎駅から直通の汽車もあったとか。

線路も島原半島の突端部まで伸びていたそうです。

高1の時、大学ノートに写真を貼付けた随筆『我がこころの島鐵』というアルバム集をつくって、独り悦に入ってた、、、、、。

投げ竿を背負い、汽車を眺めながら、浜辺の集落をうろうろ。

ヒツジよ、おまえは一体どういう高校生、、、、いまも変わらんか。仕方なかね。


帰りはフェリーに乗って、熊本港経由。

時間を待つあいだ、風を避けて船溜まりでちょっと投げてみる。

強い季節風のおかげで雲がとれて、その全容を現した雲仙普賢岳。

人間にとって、災害と恵みとが共存するカタチともいえる島原半島のシンボル。

駆け足の、短い時間の散策でしたが、そのほんの一端に触れられたようで、うれしか。

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